私がパワハラ上司に送った手紙 全文

私がパワハラ上司に送った手紙 全文
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私はかつて勤めていた会社で、ある上司からのパワハラに遭いました。結果的にその会社を退職することになったのですが、辞める際にパワハラをしていた上司と、更にその上の上司に宛てて、パワハラの現状とそれに対する私の想いを手紙に書いて渡しました。私はそれよりも前にも、何度かパワハラを見たり受けたりしていましたが、どの場合にもパワハラをする当事者にはある「共通点」があることに気づきました。この手紙には、その「共通点」に対する考え方を述べており、もしかしたら他の多くのパワハラにも当てはまるのではないか、それらの解決の糸口になるのではないかと思い、ここにその手紙の全文を公開します。

 

前提:パワハラの状態について

ある企業の一つの部署で、約15名が配属されている閉鎖的な職場。トップが課長、その次が係長、その配下に社員・派遣社員・アルバイトが約13名という構成で、ナンバー2である係長が、その配下全てに対して、大小の差はあれど何らかのパワハラをしていました。パワハラの内容としては、主に大声での暴言で、業務に関して何か気に入らない事があるとすぐさま大声で怒鳴りつけるといった調子。その怒鳴っている内容が、業務上必要な指導であれば仕方ないと思える場合もありますが、明らかに言う必要のないような内容まで含まれていました。更には、そもそも係長自身が業務全体のプランを指示しないから部下の作業に不手際が発生しているという状況に対しても、部下のせいにして怒鳴りつけていました。そして、怒鳴りつける相手によっては、別室に連れ出して2時間以上も説教していたこともあり、その際には「同じ話を何回も繰り返して説教された」と当事者から聞いており、明らかに業務上必要な指導の範囲を超えていると感じていました。

私がこの職場にアルバイトとして勤め始めてから1年程が経過しておりましたが、職場の先輩などから話を聞いたところ、過去数年にわたって同じようなパワハラが繰り返されていたそうです。そして、先輩から課長に対して、パワハラの現状報告と、なんとか改善していただけないかという相談を持ち掛けたそうですが、その場では課長は「なんとかする」と言ったそうですが、それから状況は変わらなかったとのことです。つまり、課長もパワハラの実態については知っていることは確かですが、無視しているのか、それとも止めようとしても止められていないのかは定かではありませんが、改善できていないという状況でした。

私自身がパワハラのターゲットにされたことは1度しかなかったため、実質的に私はパワハラの当事者というより第三者という立場でした。それでも退職を決めた理由と、第三者だからこそ感じたことを率直に文章に書き起こしました。

 

手紙 全文

A課長
B係長

突然の退職となり、ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。退職の理由と、在職中に思い悩んでいたことをどうしてもお伝えしたく、文章にさせていただきました。
課長には少しお話したのですが、私はかつて務めていた会社で上司からのパワハラを受け、適応障害になって退職した過去があります。適応障害がどういう状態かというと、個人差がかなりあるようですが、私の場合は、朝目が覚めると自殺のことを考えていて、「死んじゃだめだ。今日一日なにもしなくていいから死んじゃだめだ。」と布団の中で自分を説得するのに夕方までかかって、コンビニに1度行くのがやっと、それ以外の全ての事は一切できないという生活が3カ月続きました。そしてさらに3カ月近くかけて少しずつ状態は回復しましたが、もう会社に勤める気にはなれなくなりました。この現場のアルバイトに応募させていただいたのは、そういった状態からの再起をかけてのことでした。そういった経緯があるもので、こちらの現場で係長が社員や従業員に執拗な暴言を吐いているのを聞いていると、とてつもなく不快な想いをし、また、なんとか改善できないかと思い悩むことが多くなり、また自身の状態が悪化する前に退職に踏み切らせていただいた次第です。
と、ここまで私の悩んでいたことを書かせていただきましたが、それがこの文章の本質ではありません。私自身に対しては一度だけ大きな声で指示されたことがありましたが、その日のうちに係長から「大声を出してしまい申し訳ありません」とわざわざ声をかけてくださったので、それで充分でした。ですので、私についてはそれで問題ないのですが、問題はCさんとDさんについてです。係長に説教された後のCさんやDさんは、表情が無く虚ろで、声をかけてもまともに答えが返ってきません。やる気がなくなっているという次元ではなく、人はストレスや睡眠不足で脳の活動が低下しますが、あれは極度のストレスによって脳の機能が著しく低下している状態に見えます。そう思う理由は、私がそうだったからです。私の場合は、あの状態が1年続いた結果、適応障害と診断されました。現在の状態としてはCさんの方がそれが顕著に表れていますが、Dさんの方がストレスへの耐性が低そうなので、どちらもいつ何らかの精神的疾患を引き起こしてもおかしくない状態だと思います。私としては、あんな苦しみをもう誰にも味わって欲しくないんです。なんとか状態を改善していただきたいというのが、この文章で一番お伝えしたいことです。
そこで、どこが問題なのか、どうすれば改善できるのかということを私なりに色々考えていたのですが、私は、係長が社員や従業員を辞めさせるために圧力をかけているとはとても思えません。そんなことをするメリットが一つも無いからです。むしろ、社員や従業員には早く成長してもらいたいと心から思っているはずで、それは間違いないと思います。ではなぜ、必要以上に圧力をかけてしまうのかということを考えたのですが、心理学上で「自尊理論」という考え方があり、これが当てはまっているのではないかと推測しています。これは、他人を低く評価することで、自身の評価を相対的に高めるという考え方です。人には「自己肯定欲求」というものがあり、自分自身のことを肯定されたいと自然に考えます。他人を否定することで自身を肯定することを、実は人は日常の中で頻繁に行っています。係長は、社員や従業員を否定することで、自身の肯定欲求を満たしており、それに完全に依存しているのではないかと感じます。そう思う理由は、お恥ずかしい話ですが私の父にあります。私の父は、仕事でのストレスを持ち帰ってきて母に八つ当たりしてぶつけていました。これも、母を否定して父自身の肯定欲求を満たすものだと思っています。結局、半年ほど前に母は一時家出する事態になりました。翌日には戻ってきた母と父を交えて3人で話し合いの場を持ち、私は父に「仕事のストレスをどこで発散しているか?」と聞くと、特に発散するような趣味を持っているわけでもなく、どこでも発散していないと言いますが、それは有り得ません。人はストレスを延々と溜め続けることはできないことを、私は身をもって知っています。その旨を父に伝え、「つまりストレスを母にぶつけているんじゃないか?」と話すと、父も「そうだったかもしれない」と認め、何かストレスを発散できるような趣味を見つけなきゃいけないねという話に落ち着きました。
仕事にストレスは付き物です。この現場で、あの従業員たちの指揮を任されることはとてつもないストレスが発生することは容易に想像できます。ですが、そのストレスの向け先をなんとかして変えていただきたいです。これはとても難しいことだとは思います。私自身、精神科でのカウンセリングや催眠療法を受けながら2年くらいかけて色々試行錯誤した結果、歌を歌うこととピアノを弾くことが私にとって最もストレスを発散できる方法だとわかったので、会社に勤めていた頃は毎週末に一人でカラオケにいっていました。それは極端な例だとしても、なんらかの方法でストレスは仕事の外に持ち出していただき、仕事の中では感情が高ぶってしまっても興奮せず冷静になっていただくことで、最も部下を成長させられる教育を出来るのではないでしょうか。
推測や思い付きばかりの文章になってしまい申し訳ございません。ただ、このままではみんな不幸になる。それだけは避けたいという想いがあったことだけは理解していただきたいです。

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最後になりますが、最悪の状態から再起のきっかけとしてこの現場で働かせていただいたことに本当に感謝しております。現場の社員・従業員各位には心身ともにいつまでも健康であっていただきたいと、心よりお祈り申し上げます。

(匿名性保持のため、名称や役職などの表現は一部変更しています)

 

パワハラとは?その本質について感じたこと

文中にもある、「自尊理論」という考え方、つまり他人を否定することで相対的に自分を肯定し「自己肯定欲求」を満たすこと、それが多くのパワハラ問題に深く関わっているのではないかと感じています。私は今回以前にも2回、パワハラの現場に立ち会っています。そのうち1回は自分自身がパワハラを受ける身として、そしてもう1回は第三者として立ち会いました。つまり合計3回のパワハラを目にしている訳ですが、そのいずれにも共通している点がありました。それは「パワハラをする瞬間はとても感情的になっていること」です。とても合理的とは思えない指示や非難が含まれており、本能の赴くままに怒鳴りつけるというパターンがとても多かったです。この点からも、パワハラというものは冷静な思考を介せず、欲求をそのまま発散させることが原因となっている例が多いのではないかと考えています。

 

パワハラの正しい対策とは?

パワハラの対策については、完全な正解は無いのかもしれません。もちろん法律としては、パワハラを受けた者は会社などに対して損害賠償や慰謝料を請求することができ、その斡旋という立場で労働基準監督署が介入したり、交渉が難航すれば裁判に発展させることも認められています。ただ、法的対処というのはあくまで最終手段であるわけですし、パワハラをする側は、「こいつなら気が小さいから訴えるなんてことしないだろう」といった弱みに付け込んでいる実態が多いため、被害者自身が対応するにはとてもハードルが高いというのが現状です。

となると、法的手段に出るような事態になる前に、第三者が少しでも沈静化ような助言をしてあげられることが重要なのではないかと個人的には考えており、その結果が上記の手紙となりました。この手紙の内容としては、パワハラをしている側に対する非難に終始しないよう注意しています。これは、パワハラをしてしまう原因はストレスにあると考えているからであり、非難を浴びせることでストレスが増してしまったら逆効果になると考えたからです。そしてそういった考え方は、あくまで第三者だからこそできるものです。被害者自身がパワハラをしている側に改善を要求しようとすれば、日頃の恨みがこもってしまい、必ず非難する内容が含まれてしまうでしょう。それに、もし恨みを我慢した内容になったとしても、パワハラをする側から見ると被害者を「欲求を満たすための存在」と位置づけているはずなので、その存在からの意見を肯定することは自分を否定することになる、つまり自己肯定欲求を満たせないので、普段より強い攻撃が返ってくるだけでしょう。これは私自身に経験があります。私が過去にパワハラを受けた際、上司に対して徹底抗戦したことがありました。しかし、反論すれば反論するほど上司の攻撃はエスカレートするばかりで、全く状況は改善されませんでした。こういった経緯から、被害者自身が反撃するようなことはおすすめしません。上記の手紙も、当事者である係長自身に宛てた内容にはなっていますが、宛先にはそのさらに上司の課長も含めており、先に課長に手渡してから、課長から係長に渡してもらうように頼んでいます。このように、当事者に対して発言力のある人物の協力を得ることが絶対不可欠だと思います。

 

タイプによって異なるパワハラ対応

「手紙」という今回の対応は、最も弱く、穏便な方法です。しかしその方法を採用したことには理由があります。

今回当事者となっていた係長は、確かにパワハラをしている最中は感情的になっていましたが、それ以外の時に雑談などをしてみると、とても論理的な思考をするタイプであることがわかり、社会的モラルなどもとても高い人物だと感じていました。そしてその上司である課長は、性格は穏やかではありますが業務に関しては的確に指示・指導をしていると感じており、問題点があれば逃げたり無視したりせず必ず何らかの対応をしてきていることを過去に見ていました。そのため、私自身の経験を踏まえてパワハラの原因や対策についての考察を伝えるだけで、具体的な改善対応に着手してもらえるのではないかと予想したため、手紙という方法を選択しました。手紙を渡す際には返事や感想などは全く求めなかったのですが、結果として当日中にメールで課長・係長の両方から返事のメールをいただきました。そのメールの内容には、いずれにも改善の意思があることが書かれておりましたが、それ以外に重要だったのが、当事者である係長からのメールの中に「私自身も悩んでいたことに対する助言をいただけて感謝しています」という旨の文面があったことです。これは私としても、もしかしたらと思っていたことではありました。つまり、パワハラは悪いことと分かっていて、やめたいのになかなかやめられなかったということです。私は、世間一般でパワハラと呼ばれるものの中にはこの例のように、当事者自身も悩んでいるパターンが多く含まれているのではないかと感じています。こういった場合、いきなり法的手段であったり、会社から異動や懲戒処分といったような強硬手段をとってしまうのは最適とは言えないのではないでしょうか。一度、心理的なカウンセリングなどを受けさせて様子を見るというステップを踏んでもいいのではないかと個人的には考えます。

が、あくまでそれは、パワハラは無くすべきというモラルを持っていて、話し合いに応じてくれる程度の論理的思考能力もある場合の話であって、もし「ややこしいこと言うんじゃねえ!俺の言うことが聞けないのか!」なんて言い出すような人物だった場合は、とっとと強硬手段を取るか、そんな人物を管理職に据えているような会社はとっとと辞めましょう。

 

最後に

テレビの番組でたまに「上司のパワハラを一発で撃退!スッキリ!」といった内容が放送されることがありますが、私はあれがパワハラに対して正しい対応とは全く思えません。むしろ、反撃することでストレスを解消しているという点では、本質的にはパワハラをしていることと何ら変わりがありません。イライラしていることは分かりますが、そこでこそお互い冷静になって、改善策を考えていくべきなのではないでしょうか。

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